KFCDの確固たる品質で、鋳鉄品の新たな可能性をひらきます。
当社が独自に開発したKFCD(高性能ダクタイル)は、黒鉛結晶の制御技術を駆使し、黒鉛・金属 基地ともに結晶を微細化している点が大きな特徴です。
結晶を微細化することで肉厚感度および 白銑化の影響が小さくなり、高い信頼性が要求される部品に使用することで実力を発揮します。
また、延性および靱性、疲労強度に優れるとともに切欠感受性が小さいため、鋳鍛鋼品への代替 えが可能となります。
その高い品質が評価され、KFCD(高性能ダクタイル)は、(社)日本鋳物 工業会「平成17年度滝沢賞」を受賞しています。
KFCDの特徴
KFCDは、独自製法により黒鉛結晶の形状・分布を制御することで、鋳鉄品本体における機械的性質の劣化という問題点を解決し、テストピースの性能を製品本体に反映できる球状黒鉛鋳鉄(FCD)です。
材質名 | 対応JIS材質 | 引張強度N/㎟ | 0.2%耐力N/㎟ | 伸び% |
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KFCD400 | FCD400-15 | 428~465 | 289~320 | 22~27 |
KFCD450 | FCD450-10 | 460~482 | 295~320 | 19~26 |
KFCD500 | FCD500-7 | 510~570 | 320~350 | 14~19 |
KFCD600 | FCD600-3 | 705~800 | 420~480 | 7~10 |
KFCD700 | FCD700-2 | 730~840 | 450~500 | 4~8 |
KFCD800 | FCD800-2 | 850~910 | 540~580 | 2~5 |
KFCD900 | - | 960~1000 | 680~730 | 1~2 |
独自開発素材「KFCD」の歩み(開発史)
それは、お客様の強いご要望により生まれた
1999 | 顧客(日立製作所)より重要保安部品用として、ドイツジンべルカンプ社の高性能ダクタイルと同等の機械的性質を有するダクタイル鋳鉄の開発依頼を受ける |
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1999 | KFCD400高性能ダクタイル鋳鉄を開発、火力発電所用動翼に採用される |
2000 | 高強度KFCD800ダクタイル完成超高層大型エレベーターに適用 |
2001 | 大手製鉄所パイプ製造60000トンプレス用金型の長寿命化改善依頼を受けKFCD800を提案し採用される |
2002 | パイプ製造60000トンプレス用金型が、他の大手製作所の同様設備にも採用され、現在も材質指定品となっている |
2006 | 顧客(日立製作所)より、大型エレベーター用緊急非常止め装置向けのブレーキシュー材料の開発依頼を受けて開発、採用される |
2011 | 高速エレベーター用メインシーブのためKFCD800の性能向上開発依頼を受けKFCD900を開発、超高層・最高速エレベーターに採用される |
2019 | KFCD900使用品搭載のエレベーターが世界最高速エレベーターとしてギネス世界記録に認定される |
KFCDの特性ダクタイル鋳鉄の使いにくい点を克服
機械特性
- 肉厚感受性が小さい
→ 薄肉部で硬質化(チル)しない
→ 厚肉部の強度・伸び低下を低減 - 疲労強度が優れる
金属組織特性
- 薄肉部でも白銑化しない
- 厚肉鋳物でも球状化率が良い
→ 異常黒鉛の発生が極少 - 黒鉛粒数が多い
均一性が高く製品内部の強度保証が可能
厚肉材における
KFCDと一般FCDの黒鉛比較
300㎜立方体における組織観察位置
※比較条件
一辺300㎜立方体の中心部の状態を比較。
通常のFCDでは制御が難しい箇所でも金属組織の均一性を
保つことが可能です。
KFCDは厚肉部における黒鉛組織の均一性が高い
一般FCDにおける厚肉部の黒鉛組織
一般FCDよりも延性に優れる
疲労強度が向上
全パーライト基地で均質性の高い高強度ダクタイル鋳鉄
KFCDは多量の合金配合が可能で、鋳放し状態で(熱処理レス)で全パーライト組織を得ることができ、
FCD700やFCD800といった高強度なダクタイル鋳鉄に対応しております。
肉厚10㎜基地組織
肉厚80㎜基地組織
肉厚300㎜基地組織
肉厚10㎜黒鉛組織
肉厚80㎜黒鉛組織
肉厚300㎜黒鉛組織
鋳放し(熱処理レス)状態で全パーライト組織を緻密化させ、
ダクタイル鋳鉄のさらなる強度化を実現しています。
2種類の高張力鋼を用いたピンオンディスク摩耗試験結果例